2026.6.7
本提案は、高齢化や単身世帯の増加が進む住宅地を対象に、「自宅」と「施設」の中間となる新たな居場所と世代を超えて住み継がれるまちを提案したものである。特に興味深いのは、提案者自身の祖母の暮らしを出発点とし、一人称の視点から地域の課題を捉えている点である。社会課題を抽象的に扱うのではなく、身近な暮らしの実感から問いを立ち上げていることが、本提案に説得力を与えている。
提案者は、福祉が地域の日常から切り離されている現状に着目し、それらを再び地域の暮らしへ取り戻すため、「むすび」と名付けた小さなケアの拠点を住宅地に点在させる構想を示している。福祉を特別なサービスではなく、地域の日常の延長として捉え直してい点が評価された。さらに、「むすび」を設計するにあたり、「むすび空間」と「ほどき空間」という概念を設定し、機能が明確な場と用途を限定しない場を組み合わせながら、コンセプトを建築空間へ丁寧に展開している点も高く評価された。
また、高齢者の居住継続と若い世代の受け入れを両立させようとする視点のもと、建築、運営、地域の関係性を統合的に構想している点も本提案の特徴で、超高齢社会における住宅地再生の新たな方向性を示すことに成功している。






