2026.6.9
愛知県瀬戸市の宮里町は、かつて工房と住まいが混在する「つくる共同体」として栄えた地域であった。しかし現在では、空き工房や空き家が増加し続けており、地方都市に共通する典型的な課題に直面している。
本提案は、この現状を詳細に考察し、半屋外的な中間領域のあり方、つくる行為と使う行為の反復、所有権のみが残存する所有の曖昧化、さらには資源のフローなど、多角的な視点から分析を進めている。その上で、この地域に「還継圏」という単位を定義し、増築でも減築でもない「還築」と「継築」という概念を導くことで、空き家が増加し続ける地区を再生する仕組みを提案している。
また、空き工房と空き家から構成される地区において共同所有の枠組みを構築し、工房を循環の拠点として再編するとともに、段丘と路地の関係を編み直している。さらに、空き家を段階的に解体して部材を回収・還元し、「還築」を行うことで、半屋外へと開かれた空間を創出する。そして、躯体・壁・床が仮設、増築、減築を繰り返しながら継続的に更新されるという、この地域が本来有していた空間的特性を「継築」という形で再評価し、街の新たなあり方を見いだしている。
このように、空き家が増え続ける地域に対して、人・資材・暮らしの循環性に着目した本提案は、少子高齢化社会が抱える課題に対する有効な解決策として、過去・現在・未来をつなぐ具体的なビジョンを示しており、高く評価された。




