2025.5.30
第22回 集合住宅再生・団地再生・地域再生学生賞の審査結果発表
ご応募ありがとうございました・
審査の結果、次の5点が入選と決まりました。
・最優秀賞
戸梶 工 千葉大学大学院 園芸学研究科 環境園芸学専攻
題名 風景蘇生術 〜戸山公園および戸山ハイツの教育コモンズとしての再編〜
・優秀賞
岸本 涼花 室蘭工業大学 環境創生工学専攻
題名 帯と間~簡平住宅のコンバージョンによる町民の居場所づくり
・優秀賞
宇治 萌花 日本女子大学 建築デザイン研究科
題名 『散歩が紡ぐ団地の風景』
・奨励賞
杉山 舞 日本大学大学院 理工学研究科 建築学専攻
題名 「空蝉の未来」
・奨励賞
大泉 早花 日本女子大学 家政学部住居学科 建築デザイン専攻
題名 未来のコミュニティのための団地のリデザイン -多文化共生と地域連携による団地の新たな価値創造-
今年の応募は昨年から少し増えて16作品であった。以前は既存建物を大きく取壊すことなく居住地としての再生を図る計画案が多かったが、全般に団地の経年が進んできたこと、人口減少局面に入り住宅のまま存続し続けることの必然性が薄くなっているケースが増えてきたこと等から、団地の痕跡を残しつつも既存建物は大きく取壊して、全く新たな空間形成を行う計画案が目立ったのが今年の大きな特徴だった。
最優秀賞の「風景蘇生術-戸山公園および戸山ハイツの教育コモンズとしての再編」は、戦後の住宅供給という役割を終えた団地を取壊し、団地建設以前にあった緑と水の風景を現代的に蘇らせようとした計画案であり、この案がリアリティを感じさせるものになっているのは、計画者の力によるところであるとともに、時代感覚の変化によるところでもある。
優秀賞の二案、既存建物のブロック造の壁だけを残し、そこに大きな屋根をかけることで地域住民の新しい居場所をつくろうとした「帯と間」も、既存建物を全面的に建て替えることで低層の魅力的な住宅地をつくろうとした「散歩が紡ぐ団地の風景」も、ともに元の団地自体は役割を終えたものとして解消している。横須賀の丘の上の市営住宅の壁や骨組みを手掛かりに新たなコミュニティ施設をつくろうとした奨励賞の「空蝉の未来」も同様である。
もう一つの奨励賞、「未来のコミュニティのための団地のリデザイン」だけが、既存建物と住宅団地としての役割を引き継ぎながら、新しい時代の要請に応えるべく再生しようとした提案であり、その取組む問題が多岐にわたっている点が今日的で印象に残った。
団地についての時代感覚は年々変わっている。それを強く感じさせてくれる今年の応募作品群であった。