2024.6.19
(審査講評)
夫婦2人と子供らによって構成される核家族、つまり20世紀の典型的な『近代家族』のために作られた戸建て住宅団地を解体し、再定義することで、社会における家族形態の変化にフレキシブルに対応できる住宅団地の姿を模索している。
単身者のため、DINKSのため、あるいはSOHO、オフィス、集合住宅や賃貸住宅併用、店舗併用など、多様な家族や働き方に合わせた住まい方に適応できるよう、空き家や空き地、あるいは使わなくなった部屋などを活用し、隣近所の戸建て住宅を自由に組み合わせて、増築、改築、減築、したり、2〜5戸の住宅を接続したりする。そうすることで、多様な住まい方に対応し、血縁関係や家族関係を超えた様々な住まい方が可能となる。
従来の都市計画のように、既存建物をスクラップするのではなく、各々の既存の建築や構造を丁寧に読み込んだ上で、建築的に様々な解決方法が提案されており、社会的背景にも配慮した実現性も高い優れた案である。
田島則行(千葉工業大学創造工学部建築学科准教授/テレデザイン)